文藝的brainfuck
一見普通のポエムだけれども、brainfuckのプログラムとしても解釈される文章/downloads/code/2015/07/15/jis.bfを書きました。
文章 (参考)
以下は参考であり、適切な文字コード(iso-2022-jp)を指定しないとプログラムとしては動作しないことに注意。
彼は涙目で記号列と戦い続けていた。
脳をおかしくしそうな程に苦労し考えているのに、文字列の出力すら書けないからだ。
朝からずっと勝負しているそのプログラミング言語は、他の言語と違って、少ない数の命令だけからなる。
覚えることは少ないけれど、繰り返し使って慣れるまでは、書くのは多少難しい。
いくらか経った後、少し命令も覚え、僅かだけれど書けるようになったころ、ふと空を見ると、少女、そう少女の、ゆっくり空から降ってくる様を、彼は見ました。
ああ遂に私は変になってしまったようだ、けれども妄想でも楽しければそれでいいかなあ、なんというか、かなり面白そうな事態だしなあ、と思いつつ、彼女の落ちてくるあたりへ走りました。
緊張のようなものを感じつつ、少女の降りてくるのを見ました。そして彼は降りて来た彼女をうけとめました。
そうしたはいいものの、それからどうするかに困っていると、彼女は目を開いて、困っている彼を見て、かわいいのねと、からからと笑いました。
「私はね、あなたみたいな、ぜんぜん才能ないのにあきらめずに頑張る人を鼓舞するために主より使わされた、いわゆる天使、みたいな何かなんです。」
私みたいな人間を鼓舞するための天使とは、やはり私の脳はあの言語の犠牲になったのだなあと考えていると、「いいえ貴方は正気ですよ。なにも悪くない。」と彼女は言った。
彼は、彼女本人にそう言われても変わらないのではと思ったけれど黙っておくことにした。
「さてまだ仕事は半ば、記号列との勝負に戻りましょ。」と少女に促され、彼は仕事場へ少女とともに戻った。
少女はやはり天使だと言い張るだけあり、彼の想像をはるかにこえる上手さで、彼は彼女に手伝われ、あれだけ悩んでいた問題をさくさくと倒していった。
少女に助けられ記号を操作し、記号列をうち倒し勝利した彼は、丁寧に少女に礼を言った。
いえ私は横で眺めていただけです、きっとあなたは記号の操作に向いていますよ、と彼女は答えた。
「ところであなたに頼みなのだけど、」髪を弄りつつ彼女は言う。「有りまして、えっと、その、もう少し、あなたの側に居たいです。」
「まだきっと、きっともうすこしだけ時間は有りますし。ぎりぎりまで話していたい。全て終わるまで。」
少女に、それはどういう時間とはどういう意味なのかと尋ねても、その答はどういうことか理解できなかったので、彼はそれに関して聞くのを止めた。
繰り返し話をした後、彼女は小さく言った。
「ぞくぞくと準備は終わっていってる。他の人とかの都合もあるし、もう行かないと。」
それから、彼女は「さよなら」と言い、突然見えなくなった。
彼はしばらくの沈黙の後、さようならと呟いて、鉛筆を持ち、次にまたあう際までにもっと上手くならないとなと、机に向かった。
コードはこれhttp://golf.shinh.org/reveal.rb?Helloworldless+Hello+world/hirose_1313505002を参考にしました。